
最終確認日:2026年9月8日
「気象予報士 やめとけ」と検索する人の多くは、まだ受験をやめる決心まではついていないはずです。
やめる理由が本当に正しいのかを、いちど確かめておきたい。
あなたも、その途中にいるのだと思います。
結論からいうと、「やめとけ」と言われる根拠は3つに分けられます。合格率、受験できる機会、そして就業先です。
そしてこの3つは、受けるかどうかより先に「どう受けるか」を決めるための条件になります。
特に見落とされやすいのが3つ目です。
「予報の仕事に就いている人は12%」という数字だけが独り歩きしていますが、残りの人たちが何をしているかを見ると、判断の材料はかなり変わります。
✅ この記事で分かること
- 📌 「やめとけ」と言われる3つの根拠を、公式データで確認できる
- 📌 「仕事がない」と「使い道がない」がどう違うかが分かる
- 📌 予報の仕事以外に、気象庁が挙げている活躍の場を知ることができる
- 📌 受験するか保留するかを、自分の条件で判断できる
気象予報士が「やめとけ」と言われる3つの理由
「やめとけ」の内容を分けると、合格率の低さ、受験機会の少なさ、就業先の狭さの3つに整理できます。
ここでは、それぞれがどれくらいの事実なのかを公式のデータで確認します。
合格率は全65回の平均で約5.5%
気象業務支援センターが公表している統計によると、通算第1回から第65回までの累計で、受験者243,940人に対して合格者は13,433人でした。
割合にすると約5.5%です。
直近の回でも傾向は大きく変わっていません。
2026年1月25日に行われた通算第65回試験は、受験者3,932人に対して合格者208人で5.3%でした。
合格基準そのものは公表されています。
学科は一般知識・専門知識ともに15問中11問以上、実技は総得点の70%以上。
ただし難易度により調整される場合があると明記されています。
ここで注意したいのは、合格に必要な勉強時間について公式には何も定められていないことです。
「800時間」「1000時間」といった数字を見かけますが、これらは民間の目安であり、出発点の知識や生活の条件で大きく変わる参考値として扱うのが安全でしょう。
学科は通っても、実技で止まりやすい
合格率5.5%という数字だけでは、どこが難しいのかまでは見えません。
試験の形式を見ると、つまずく場所がはっきりします。
学科試験は一般知識と専門知識の2科目で、いずれもマークシートによる多肢選択式。
試験時間は各60分です。
これに対して実技試験は記述式で、75分の試験を2つ受けます。
実技で問われるのは、気象概況とその変動の把握、局地的な気象の予想、そして台風など緊急時における対応。
与えられた資料を自分で読み取り、言葉にして説明する力が問われます。
「学科は通ったのに実技で止まる」という声が目立つのは、この形式の差が効いているからです。
これから始める人は、テキストを選ぶ前に実技の過去問を一度開いてみてください。
自分が半年後にどんな答案を書けるようになっていればいいのかが、先に分かります。
すでに学科に合格している人なら、次に確認したいのは知識量よりも、記述の型を持っているかどうかです。
受験できるのは年2回・全国6か所だけ
あまり語られないのですが、生活への影響という点ではこちらの方が重い条件かもしれません。
試験は年2回(8月と1月)で、試験地は北海道・宮城県・東京都・大阪府・福岡県・沖縄県の6か所のみです。
つまり、この6都道府県以外に住んでいる人は、受験のたびに移動と宿泊が発生します。
年2回しかないため、一度見送ると次の機会は半年後。
働きながら受ける人にとっては、勉強時間そのものより「試験日に会場へ行ける生活かどうか」が先に問題になることもあります。
費用の面では、試験手数料は免除科目なしで11,400円。
学科1科目免除なら10,400円、2科目免除なら9,400円です。
※学科試験の全部または一部に合格すると、申請により合格発表日から1年以内の試験で免除を受けられます。気象業務に関する業務経歴や資格による免除もあります。
予報の仕事に就いているのは12%
「仕事がない」という声の出どころは、気象庁が令和2年度に行った現況調査です。
気象予報士全員を対象にしたこの調査では、75%が就業しており、そのうち全体の12%が予報業務許可事業者に就業していることが分かりました。
この12%という数字を「気象予報士の88%は資格を使えていない」と読むと、たしかに厳しい話に見えます。
ただし同じ調査で、約8割が資格に満足し、約6割が業務や社会活動に役立ったと回答しています。
満足度と就業割合が食い違っているように見えますが、この2つは矛盾していません。
測っているものが違うからです。
あわせて、この調査の性質も押さえておきたいところです。
対象は登録済みの気象予報士であり、受験を途中でやめた人や合格に届かなかった人の声は含まれていません。
「約8割が満足」は、あくまで資格を取り切った人の中での8割という前提で読む必要があります。
そのため、この数字を「自分も満足できる確率が8割」と読み替えるのは危険です。
満足に届く前に、5.5%の関門があります。
💡 判断軸
12%は「予報業務許可事業者に就業している割合」であって、「気象に関わる仕事をしている人の割合」ではありません。自分が目指しているのが予報会社への就職なのか、それとも今の仕事に気象の知識を足すことなのかで、この数字の重みはまったく変わります。
「仕事がない」と「使い道がない」は別の話
気象予報士でつまずきやすいのは、出口を「予報の仕事」1本に絞ったまま損得を計算してしまうことです。
ここでは、12%という数字の外側に何があるのかを整理します。
資格が効いているのは、法律上の仕組みの部分
気象業務法の規定により、気象庁長官の許可を受けて予報業務を行う事業者は、気象等の予想を気象予報士に行わせなければならないとされています。
この仕組みがある限り、予報を出す事業には気象予報士が必要です。
言い換えると、資格そのものへの需要は法律の側に残っています。
ただ、その需要が集中している場所が狭いのです。
気象庁が挙げている「12%の外側」
同じ気象庁の資料では、気象予報士の資格が予報以外の場でも役立てられていることが具体的に示されています。
教育活動、報道機関での情報伝達や気象解説、地方自治体における防災の現場などです。
さらに、気象庁は次の2つの方向を後押しする取組を進めていると説明しています。
- 気象防災アドバイザー:専門的な知見を活かして、地域の防災活動を支援する
- 気象データアナリスト:企業のビジネス創出や、生産消費・脱炭素といった課題解決に気象データを活かす
どちらも「テレビに出る気象予報士」とは違う道です。
そして、どちらも今の職種や住んでいる地域を大きく変えずに近づける道です。
この2つについては、気象庁「気象予報士について」のページに、それぞれの案内が置かれています。
予報会社への就職以外を考えているなら、求人サイトを見る前に、まずここを開くのが早道になります。
資格を取った人がどこにいるのかを示す手がかりもあります。
一般社団法人日本気象予報士会には、気象予報士の約4割にあたる3,000名以上が会員として在籍し、情報交換や技能の研鑽、気象情報の利活用推進といった活動を行っていると気象庁は説明しています。
予報会社に勤めていなくても、資格を軸にした活動の場は存在するということです。
令和4年4月1日時点の登録者は11,251人。
この人数に対して予報会社の採用枠は限られますが、防災・教育・データ活用まで含めると、資格が置かれている場所はもう少し広く見えてきます。
「いらない」と言われても、受験者は減っていない
「気象予報士はいらない」という言い方の背景には、予報の自動化が進んだという見方があります。
ただ、受験者数の推移はその見立てと違う動きをしています。
気象業務支援センターの統計では、2014年8月の試験の受験者は3,275人。
2023年8月には4,290人まで増え、2026年1月の試験でも3,932人が受験しています。
合格者数も、近年は1回あたり200人を超える回が続いてきました。
受験する人が減っていない以上、「もう誰も目指していない資格」という説明は実態と合いません。
予報の技術が自動化されても、許可を受けた事業者が予想を行うには気象予報士が必要という法律上の仕組みは残っています。
そのうえで役割が防災やデータ活用の側へ広がっている、というのが現在地です。
もうひとつ、試験の目的そのものについて。
気象業務支援センターは、この試験が認定する能力の第一に「今後の技術革新に対処しうるように必要な気象学の基礎的知識」を挙げています。
つまり、技術が変わることを前提に置いて設計された資格だということです。
数値予報の精度が上がるほど、その資料を読み解いて防災や事業判断につなげる役割は残ります。
「自動化されたから要らなくなる」という見方は、試験が想定している方向とは向きが違います。
なお、「気象予報士の就職率」という言い方に、そのまま対応する公式の数字は公表されていません。
公表されているのは、就業している人が75%、そのうち予報業務許可事業者に就いている人が全体の12%という2つの割合だけです。
この2つを「就職率」としてひとまとめに読むと、判断を誤りやすくなります。
求人が見ているのは「資格+何か」
資格を取れば採用が決まる、という単純な構造にはなっていません。
実際の求人では、気象の知識に加えて、データ解析、IT、営業、情報発信、防災といった経験が求められることがあります。
だからこそ、予報の仕事を本気で狙う人ほど、勉強を始める前に求人票を見ておいた方がいいと考えています。
勤務地、職種、必要な経験。
この3つを先に確認すると、「資格を取ってから考える」よりも遠回りが減ります。
「気象予報士=お天気キャスター」というイメージも、実態とはかなり離れています。
報道での気象解説はたしかに活躍の場のひとつですが、それは全体の一部にすぎません。
受験するか保留するかを、自分の条件で決める
ここまでの条件を並べると、判断は「受ける・受けない」の二択ではなく、3つの方向に分かれます。
あなたがいまどれに近いか、確認してみてください。
独学で進めやすい人
この条件が揃っているなら、独学で始めて問題ありません
- 試験地6か所のどこかに、無理なく通える
- 半年単位のスケジュールを自分で組み直せる
- 理数系の内容を、参考書と過去問で自力で追える
- 資格を使ってやりたいことを、1文で書ける
逆に、上の4つのうち2つ以上が埋まらないなら、独学の前に見直す場所があります。
とくに実技試験は、参考書を読む時間よりも、答案を書いて添削してもらう機会があるかどうかで進み方が変わります。
教材や講座を先に確認した方がいい人
この場合は、独学の前に費用と時間の見積もりを取り直した方が安全です
- 実技試験の記述で、何を書けば得点になるのか見当がつかない
- 過去に一度受けて、学科は通ったが実技で止まっている
- 勉強時間を確保する前に、生活側の調整が必要
気象予報士は受験者数が年間4,000人規模で、簿記や宅建に比べると講座の選択肢は限られます。
そのため「講座を探す」より先に、この資格に自分の時間とお金をどれだけ配分するかを決めた方が現実的です。
資格ごとの費用と回収の考え方は資格のコスパの見方と判断軸で整理しているので、迷っている段階なら先にそちらを見ておくと比較しやすくなります。
急がなくていい人・向かない人
次に当てはまるなら、今回は保留でかまいません
- 目的が「転職して収入を上げること」だけで、希望地域に予報関連の求人が見当たらない
- 試験地まで年2回移動する見通しが、今の生活では立たない
- 気象の知識そのものには興味があるが、国家資格である必要はまだ説明できない
気象を学ぶことと、国家資格を取ることは切り離せます。
知識だけが目的なら、資格を取らずに学ぶ方法もありますし、それは遠回りではありません。
受験前に確認しておくこと
- 資格を使ってやりたいことを、1文で書けるか
- 希望する地域の求人を、実際に開いて条件を読んだか
- 試験地までの移動と宿泊を、年2回分の予定として組めるか
- 学科の科目免除は1年以内が期限。次の受験まで続けられるか
- 今の仕事や経験と組み合わせたとき、何ができるようになるか
合格した後に、もうひとつ手続きがある
見落とされやすいのですが、試験に合格した時点では、まだ気象予報士として活動できません。
気象予報士となるには、気象庁長官の登録を受ける必要があります。
試験を実施するのは気象業務支援センター、登録の窓口は気象庁と、担当が分かれています。
合格発表のあとに何をすればいいのか分からなくなる人がいるのは、この分担が理由でしょう。
そもそもこの制度は、平成6年度の気象業務法改正で導入されたものです。
民間事業者が出す予報の信頼性を担保するため、気象庁の高度な予測データを適切に扱える技術者を確保することが目的とされています。
資格に「予報を出す責任」がひもづいている、と考えると分かりやすいかもしれません。
あなたが受験を決めるときは、試験日だけでなく、合格発表から登録までの流れも予定に入れておくと安心です。
次に動くなら、この日程が目安になります
令和8年度第2回(通算第67回)の受験申請期間は、2026年11月16日から12月4日まで(当日消印有効)。
試験日は2027年1月31日、合格発表は2027年3月19日と案内されています。
期間外の申請と手数料の納入は受け付けられません。
受けると決めるなら、11月中旬までに受験資料を入手しておく必要があります。
※日程は変更される場合があります。申込み前に気象業務支援センターの案内をご確認ください。
よくある質問
まとめ
気象予報士が「やめとけ」と言われる根拠は、合格率が平均約5.5%であること、受験機会が年2回・6か所に限られること、予報業務許可事業者への就業が12%であることの3つでした。
どれも事実です。
ただし、この3つはいずれも、受ける前に確認しておく条件です。
気象庁自身が、教育活動、報道での気象解説、自治体の防災、気象防災アドバイザー、気象データアナリストといった場を挙げています。
出口を予報の仕事1本に絞ったまま損得を計算すると、判断を誤りやすくなります。
まず決めるのは、勉強を始めるかどうかではありません。
自分がこの資格を、予報の仕事に就くために使うのか、今の仕事や地域での役割を増やすために使うのか。
そこが決まれば、受けるか保留するかは自然に決まります。
予報の仕事を狙うなら、勉強より先に求人条件を見る
気象予報士の求人は、勤務地と求められる経験に地域差があります。何年も勉強してから条件が合わないと分かるより、いま募集がどう出ているかを先に見ておく方が、受験の判断がはっきりします。
▷ 求人を見るだけなら、まだ応募する必要はありません
受けるか保留か決めきれないなら、費用と時間の配分から考える
難関資格ほど、迷っている期間そのものがコストになります。かける時間とお金に対して何が戻るのかを一度整理すると、この資格を今やるべきかが判断しやすくなります。
▷ いま何かに申し込む必要はありません。判断の材料を増やすだけで大丈夫です
一次情報:気象業務支援センター「気象予報士試験 試験概要」/同「試験日程」/同「試験結果・報道参考資料(通算第1回〜第65回統計)」/気象庁「気象業務はいま2022」/気象庁「気象予報士について」


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