過去問の記述式解答用紙を前に、何を書けばいいか分からずマス目を埋められないまま時間だけが過ぎていく。
択一式なら選択肢を絞り込めるのに、記述式になると急に手が止まる、という経験をした人は少なくありません。
行政書士試験の記述式は、行政法1問・民法2問の計3問、各20点で60点満点です。
300点満点の試験全体の20%を占めるため、「記述式は捨てて択一だけで合格する」という判断はリスクが大きくなります。
一方で、記述式を丸ごと得点源にしようとすると、40字という限られた字数の中で何を書けばいいか分からず、対策が止まってしまいます。
この記事では、記述式を「捨てる/捨てない」の二択で悩む前に、出題の型を見分けて部分点を積み上げる考え方を整理します。

記述式は捨てるかどうかではなく、部分点をどう積み上げるかで考える科目です
行政書士試験研究センターが公表している令和7年度の試験結果では、合格率は14.54%でした。
合格率が低い試験だからこそ、配点の大きい記述式の扱い方が合否を左右しやすくなります。
✅ この記事で分かること
- 📌 行政書士 記述式の配点と、捨てるとどれだけ不利になるか
- 📌 判例系・条文系という出題2タイプの見分け方
- 📌 40字で部分点を積み上げるための書き方の型
- 📌 独学で対策できる人・講座を検討したほうがいい人の見分け方
行政書士 記述式を「捨てる」と何が起きるか
結論からいうと、記述式は300点満点のうち60点(20%)を占めるため、丸ごと捨てると合格ラインの到達が一気に難しくなります。
ここでは、記述式の配点の実態と、対策を後回しにしやすい理由を整理します。
記述式は行政法1問・民法2問の計3問・各20点
行政書士試験の記述式は、行政法から1問、民法から2問の合計3問が出題され、各問20点、60点満点で構成されています。
合格には、①法令等科目の得点が満点の50%以上(122点以上)、②一般知識等科目の得点が満点の40%以上、③総合得点が180点以上、という3つの条件をすべて満たす必要があります。
記述式の60点は、この総合180点の中で無視できない割合を占めており、択一式だけで穴埋めするには相応の上乗せが必要になります。
例えば記述式が0点だった場合、五肢択一式・多肢選択式・一般知識等科目を合わせた残り240点の中から180点(75%)を確保する必要があり、一般知識等科目の足切りも満たしたうえで高い正答率を維持し続けなければなりません。
逆に記述式で部分点だけでも20〜30点程度を確保できれば、残り240点の中で必要な得点率は62〜67%程度まで下がります。
記述式を対策する意味は、この得点計算の面からも大きいといえます。
「捨てる」判断が危険なのは部分点の存在を見落とすから
記述式を捨てる判断が広がりやすい理由の一つに、「白紙なら0点、書いても部分点しかもらえないなら同じ」という誤解があります。
詳細な採点基準は公表されていませんが、予備校の分析や模範解答との比較からは、要件・結論・効果といった重要な要素が答案に含まれているかどうかで部分点が左右されると考えられています。
白紙と部分点の差は、合否を左右する数点になり得ます。
「書いても意味がない」と感じて手を止めてしまう前に、部分点を積み上げる技術があることを知っておく価値があります。
記述式対策が後回しになりやすい構造的な理由
記述式は択一式の知識が土台になるため、「択一の知識が固まってから記述式に取りかかろう」という順番で進める受験生が目立ちます。
結果として、直前期に記述式対策の時間が足りなくなり、模試や過去問で初めて答案を書く形式に慣れないまま本番を迎えるケースが起こりやすくなります。
記述式は独立した科目ではなく、択一の知識を答案として組み立てる作業のため、択一対策と並行して早い段階から書く練習を始めておくほうが、直前期の負担を減らせます。
💡 判断軸
記述式を「捨てるかどうか」で悩んでいる場合は、部分点の仕組みを理解しているかを確認するサインです。白紙と部分点では点差が大きく変わります。
行政書士 記述式で部分点を積み上げる書き方
記述式は出題を「判例系」と「条文系」の2タイプに分けて対策すると、40字の中で何を書くべきかが見えやすくなります。
ここでは、出題タイプの見分け方から、独学と講座の判断軸までを整理します。
判例系と条文系で書き方の型が異なる
行政書士試験の記述式は、予備校の分析では大きく「判例の理由付けを問う判例系」と「条文の知識を問う条文系」の2つに分類されています。
判例系では、判例が示した結論だけでなく、なぜその結論に至ったかという理由付けの要素を答案に含める必要があります。
条文系では、条文が定める要件や効果を正確に拾い、設問の事案にどの条文が当てはまるかを見極めることが得点につながります。
行政法分野では、予備校各社の過去問分析によると行政事件訴訟法からの出題頻度が特に高く、取消訴訟の訴訟要件など条文知識を中心に問われる傾向があるとされています。
民法分野では、A・Bといった具体的な人物が登場する事例形式が中心で、条文や判例を事案に当てはめて結論を導く力が求められます。
この2タイプを同じ書き方で対応しようとすると、判例系で理由付けが抜けたり、条文系で要件を書き漏らしたりします。
過去問を解く際、まずその設問が判例系か条文系かを見極めてから書き始めるだけで、この書き漏らしはかなり減らせます。
判例系では、結論だけを暗記していても、事案が少し変わると対応できません。
判例がその結論に至った理由付けの部分まで理解しているかどうかで、初見の事案への応用力が変わります。
条文系は、条文の文言を丸暗記するのではなく、要件と効果を分けて整理しておきます。
そうしておけば、設問の事案がどの要件に当てはまるかを本番でも素早く判断できます。
過去問を見比べても、条文系は毎年似た構造の設問が繰り返される一方、判例系は事案の細部が年ごとに変わります。
この違いを知っておくだけで、過去問演習に取り組む優先順位も自然と変わってきます。
まず条文系で得点を安定させ、判例系は事案ごとの理由付けを積み重ねていく、という順番が現実的です。
予備校の過去問分析では、行政法・民法それぞれの出題パターンが、次のような型に分類されています。

判例系は理由付け、条文系は要件・効果を問われる点で対策の仕方が異なります
40字の中でキーワードを圧縮する

事案を長く説明しすぎると字数が足りなくなるため、キーワードだけを抜き出して組み立てます
記述式の答案は40字前後という限られた字数のため、事案の説明を長く書きすぎると、肝心の結論やキーワードを書く余地がなくなります。
まず問われている要件・結論・効果をキーワードとして書き出し、それを40字に収まる形で組み立てます。
この順番を守るだけで、字数オーバーによる書き漏らしはかなり防げます。
📝 架空事例で見る答案の組み立て方(実際の過去問ではなく練習用の例です)
設問(架空):Aは無権代理人Bとの契約を追認しなかった。Bの相手方Cは、Bに対してどのような請求ができるか。40字程度で記述しなさい。
❌ 悪い例(事案の説明が長く、結論が最後まで出てこない)
「AがBとの契約を追認しなかった場合、CはBに対して契約の履行または損害賠償のいずれかを請求することができる。」(52字・字数超過)
✅ 改善例(要件→結論の順でキーワードだけを残す)
「Cは、Bの選択に従い、履行または損害賠償を請求できる。」(27字)
普段の演習では、模範解答を一度自分の言葉で要約し直し、必要なキーワードだけを抜き出す練習をしておくと、本番でも同じ手順で答案を組み立てられるようになります。
誤字脱字は、時間に追われて文字量を詰め込もうとするときに起きやすくなります。
40字という制限の中で焦って書くと、送り仮名の抜けや漢字の誤りが出やすくなるためです。
対策として、解答の骨子は問題用紙の余白で短くまとめ、解答用紙には完成した答案だけを清書する手順を決めておきます。
問題用紙は持ち帰りができ採点に影響しませんが、解答用紙に余計な書き込みが残ると、マークの読み取りエラーや採点上のトラブルにつながるおそれがあるためです。
解答用紙にメモを書いてしまった場合は、試験終了までにプラスチック消しゴムで跡が残らないよう完全に消してください。
公式の試験案内でも、訂正は消し跡が残らないように消してからマークし直すことが求められています。

下書きは持ち帰り可能な問題用紙で行い、解答用紙には清書のみを書きます
また、記述式は択一式と違って自己採点がしづらい形式のため、模試や過去問を解いた後は、模範解答のキーワードと自分の答案を照らし合わせ、どの要素が抜けていたかを毎回確認する習慣が対策の質を左右します。
過去問・問題集で出題パターンに慣れる
記述式の対策には、公式サイトで公開されている過去問のほか、記述式・多肢選択式に特化した市販の問題集や、スキマ時間で使える対策アプリなどがあります。
過去問を解く際は、正解のキーワードを覚えるだけでなく、なぜそのキーワードが必要とされるのかという理由まで確認しておくと、初見の事案にも対応しやすくなります。
記述式特化の問題集は、基礎編で出題パターンごとの型を学び、応用編で実際の事案に当てはめる練習をする、という2段階構成のものが目立ちます。
いきなり難しい事案に取り組むよりも、まず基本的な出題パターンで書き方の型を身につけてから、応用的な事案に進むほうが、途中で挫折しにくくなります。
独学で対策できる人・講座を検討したほうがいい人
記述式の対策を独学で進められるかどうかは、次の点で見分けられます。
独学で対策できる人
- 判例系・条文系の違いを自分で意識して過去問を解き分けられる
- 答案を書いた後、自分で採点基準と照らして振り返れる
- 択一の知識を40字の答案に組み立てる練習を継続できる
一方で、自分の答案がどの程度部分点をもらえるのか判断がつかない、択一対策で手一杯で記述式まで手が回らないという場合は、記述式対策も含めた講座の教材構成を確認しておくと、対策の抜けを減らせます。

採点基準が分からず不安な場合は、添削指導のある講座も選択肢になります
試験全体の出題科目・配点を公式情報で確認する
記述式は試験科目の一部であり、まずは試験全体の出題科目・配点・合格基準を公式情報で確認しておくことが、対策全体の土台になります。
行政書士試験研究センターの公式サイトでは、過去問や試験結果に関する公式資料が公開されているため、記述式だけでなく試験全体の情報を確認しておくと、学習計画を立てやすくなります。
記述式の対策時期についても、択一の基礎知識がある程度固まってから始めるのではなく、択一の学習と並行して過去問の答案を書く練習を少しずつ始めておくほうが、直前期に慌てずに済みます。
特に模試を受ける機会があれば、少なくとも1回は記述式の答案を実際の解答用紙の形式で書いておくとよいでしょう。
本番での時間配分の感覚は、この経験だけでも変わってきます。
択一式・多肢選択式を先に終わらせてから記述式に取りかかる進め方は定番ですが、時間切れで記述式の見直しができなくなるケースもあります。
自分に合った時間配分は、本番前に模試で必ず確認してください。
まとめ|行政書士 記述式は捨てずに型で対策する
行政書士 記述式は300点満点の20%(60点)を占めるため、丸ごと捨てる判断にはリスクがあります。
判例系・条文系という出題の型を見分け、40字の中でキーワードを圧縮する練習を積み重ねれば、部分点は着実に狙いやすくなります。
自分の対策で足りているか不安な場合は、記述式対策を含めた学習計画をもう一度見直してみてください。
よくある質問
記述式対策も含めた学習計画に不安がある方へ
択一対策で手一杯になり記述式まで手が回らない、自分の答案の部分点の付き方が分からないと感じる場合は、記述式の添削の有無・記述式特化教材の有無・過去問解説の深さを軸に、通信講座の教材構成を確認しておくと対策の抜けを減らせます。まずは学習範囲やサポート内容を確認するところから始めてみてください。
▷ いきなり申し込む必要はありません。教材構成を見るだけでも判断材料になります
試験全体の出題形式を公式で確認したい方へ
記述式だけでなく試験全体の出題科目・配点・合格基準は、行政書士試験研究センターの公式サイトで確認できます。過去問も公開されているため、実際の出題形式を確認しておくと学習計画を立てやすくなります。
▷ 受験案内・過去問・試験結果は必ず公式サイトの最新情報で確認してください
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