行政書士の廃業を考えたときに|続けるか迷ったら見直したい12の視点

行政書士の廃業の実態と次への選択肢を示すまとめイラスト 資格勉強法(全般)
行政書士の廃業について、数字で見る実態と今後の道を考えるためのポイント
この記事は、日本行政書士会連合会の事業報告書や複数の調査・分析記事をもとに、行政書士の廃業に関する情報を整理したものです。手続きの詳細や最新の制度については、必ず所属の行政書士会や税務署など公式窓口で確認してください。
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行政書士の廃業について、数字で見る実態と今後の道を考えるためのポイント

「行政書士 廃業」で検索する人の状況は、一つではありません。今行政書士として登録していて、自分の事務所の経営状況を見直している人もいれば、これから行政書士を目指す中で廃業のリスクを事前に知っておきたい人、知人や家族の行政書士が廃業したという話を聞いて実態を確認したい人もいます。

ネット上では「行政書士は3年で9割が廃業する」という話を見かけることがあります。しかし、この数字の出どころを確認できる公的資料は見当たりません。一方で、日本行政書士会連合会が毎年公表している事業報告書には、その年度の新規登録者数・登録抹消者数・廃業による抹消者数・死亡による抹消者数が記載されています。

この記事では、まず公的データから廃業率の実態を確認し、廃業に至る理由としてよく挙げられるパターンを整理します。そのうえで、今の状況を続けるかどうかを考えるための12の視点、廃業を選んだ場合に出てくる7つの選択肢、廃業届の手続きについても触れていきます。

結論を先に言うと、公的データから見える行政書士全体の廃業率は3%台後半から4%台で推移しており、「3年で9割」のような数字を裏付ける根拠は見当たりません。ただし、これは登録を続けている人と廃業した人の比率の話であり、個々の経営状況が良いか悪いかとは別の話です。大事なのは、自分の状況をどの視点で確認すればよいかを知ることです。

✅ この記事で分かること

  • 📌 行政書士の廃業率は実際どのくらいか(公的データの年次推移)
  • 📌 廃業する人に多い理由と、よくある経過パターン
  • 📌 続けるかどうかを判断するための12の視点
  • 📌 廃業届の出し方・注意点と、廃業後に選べる7つの道

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行政書士の廃業率は本当に高いのか?数字で見る実態と廃業の主な理由

ここでは、行政書士の廃業に関する数字を、日本行政書士会連合会の事業報告書を中心とした公的データで確認していきます。

行政書士の廃業に関する噂と公的データの違いを示す図
「3年で9割が廃業する」という噂に対し、公的データでは廃業率は約4%

「3年で9割廃業」は本当か?公的データで確認する

「行政書士は3年で9割が廃業する」という話は、検索すると複数のブログやSNSで見かけます。しかし、この数字を裏付ける公的な統計やレポートは確認できませんでした。日本行政書士会連合会の事業報告書を見ても、「3年で9割」に相当するような急激な抹消の動きは見当たりません。

一方で、行政書士全体の廃業率については、4%程度という報告があります。年度や算出方法によって差はあるものの、複数の情報源で3%台後半から4%台という範囲が共通して示される傾向があります。つまり「廃業する人は一定数いるが、9割が3年で消えるというのは大げさ」というのが、公的データに近い実態と言えそうです。

とはいえ、廃業率が低いからといって「経営が安定している人が多い」という意味でもありません。廃業せずに登録を続けている人の中にも、売上が小さいまま事務所を維持している人は一定数います。廃業率という数字だけで「行政書士は安全」「行政書士は厳しい」のどちらか一方に決めつけるのは、データの使い方として適切ではありません。

行政書士の新規登録者数と廃業者数を年ごとに比較した図
新規登録は年間約3000人、廃業は年間約1500〜2000人で推移している

登録抹消・廃業の年次推移(令和元年度〜令和6年度)

日本行政書士会連合会の事業報告書をもとにすると、各年度の新規登録者数・登録抹消者数・うち廃業によるもの・うち死亡によるものは、次のように報告されています。

年度 新規登録者数 登録抹消者数 うち廃業 うち死亡
令和元年度 2,579 1,841 1,527 305
令和2年度 2,623 1,782 1,480 295
令和3年度 2,687 1,881 1,576 288
令和5年度 3,298 2,368 2,064 290
令和6年度 3,298 2,183 1,799 358

令和4年度については、登録抹消者数のうち廃業によるものが1,592件、狭義の廃業率にあたる数値が3.16%という報告があります。表に示した他の年度とおおむね同じ範囲に収まっており、年度によって極端な増減があるわけではなさそうです。

登録抹消者数と「うち廃業」「うち死亡」の差分は、業務禁止処分や会則違反など、その他の理由による抹消にあたると考えられます。件数としては多くないものの、廃業・死亡以外の理由での抹消も一定数存在することは押さえておきたい点です。

行政書士全体の年齢層・業務歴・売上規模からわかること

日本行政書士会連合会の実態調査によると、2026年3月末時点での登録者総数は54,432名です。年齢構成は61〜70歳が25.7%、51〜60歳が25.4%、71歳以上が12.5%となっており、51歳以上が全体の63.6%を占めるという報告があります。

また、業務歴5年未満の人が51.8%、年間売上500万円未満の人が76.8%という結果も示されています(回答数3,084件)。これらは「廃業した人」のデータではなく、現在登録を続けている行政書士全体の構成を示すものである点に注意が必要です。

とはいえ、業務歴が浅い層が半数を超えること、売上規模が小さい層が多いことは、新規登録から経営が安定するまでに時間がかかる人が多いこと、あるいは安定する前に登録を抹消する人が一定数いることを推測させる材料にはなります。

地域別では、東京8,573名・大阪4,028名・愛知3,447名・神奈川3,425名・兵庫2,071名・福岡1,860名(2026年4月1日時点)に対し、鳥取212名・秋田283名・島根285名など、地域によって登録者数に大きな差があります。地域による競争環境の違いは、後述する12の視点のうち「顧客獲得にかかるコスト」や「問い合わせの件数」に直接影響することがあるため、自分の事務所がある地域の登録者数も一つの参考情報になります。

行政書士が廃業に至る理由を6つに分類した図
お金・競争・健康・法改正・事業承継・処分など複数の要因が重なることが多い

廃業理由として多い6つのパターン

廃業に至る理由は一つではなく、複数の要因が重なって判断につながることが多いとされています。よく挙げられる理由は、おおむね次の6つのパターンに整理できます。

  1. 経済的要因 — 売上が安定せず、生活費や事務所の維持費の負担が重くなる
  2. 競争・顧客不足 — 同業者が多い地域での受任競争、紹介ルートの不足
  3. 健康・高齢 — 本人の健康状態の変化や、高齢による業務継続の判断
  4. 法改正・業務環境の変化 — 取扱業務に関する制度変更で、従来の業務量が減る
  5. 事業承継の失敗 — 後継者が見つからない、引き継ぎがうまくいかない
  6. 倫理・懲戒等 — 行政処分や会則違反などによる登録抹消

件数としては経済的要因や競争・顧客不足が背景にあるケースが多いとされますが、健康面や事業承継のように本人の努力だけでは解決しにくい要因も含まれています。次の章では、これらを踏まえて「続けるかどうか」を判断するための視点を整理します。

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行政書士を廃業する前に確認したい12の判断軸と廃業後の選択肢

ここからは、今の状況を続けるかどうかを判断するための12の視点と、廃業を選んだ場合に検討できる選択肢、必要な手続きを順に整理します。

行政書士が事業を続けるか見直すかを判断する3つの柱を示す図
お金の余裕・集客の力・環境と体制の3つが安定していれば焦る必要はない

続けるかどうかを判断する12の視点

「廃業すべきかどうか」を一気に判断するのは難しいものです。ここでは、経営状況を12の視点に分けて、それぞれ「続けられそうなサイン」と「見直し・撤退を考えたいサイン」を整理しました。すべてに当てはまる必要はありませんが、見直し側のサインが複数重なっている場合は、早めに次の章で紹介する選択肢を検討する価値があります。

判断軸 続けられそうなサイン 見直し・撤退を考えたいサイン
生活費と事業費の分離 生活費を事業以外の収入や貯蓄でカバーできている 事業の売上から生活費を切り出すのが厳しくなっている
当面の現金の余力 数ヶ月分の運営資金にあたる現金がある 翌月以降の支払いに不安が出ている
月ごとの粗利益 経費を払った後にプラスが残る月が多い マイナスの月が続いている
顧客獲得にかかるコスト 紹介や既存のつながりから一定の依頼が来る 広告費をかけても新規の問い合わせが増えない
問い合わせの件数 月に一定数の問い合わせが続いている 問い合わせ自体が減っている、または止まっている
問い合わせから受任に至る割合 相談から受任につながる割合が安定している 相談はあるが受任に結びつかないことが増えている
取扱業務の幅 複数の業務を組み合わせて依頼を受けられる 特定の業務にしか対応できず、その需要が減っている
専門分野の明確さ 「この分野ならこの事務所」と言われる分野がある 専門分野が定まらず、何でも受ける状態になっている
他の専門家との提携・外注 税理士・社労士など他士業との連携先がある 一人で抱え込み、紹介できる先がない
オンライン対応・デジタル化 電子申請やオンライン相談に対応できている 紙ベースの対応のみで、対応できる範囲が狭い
顧客が特定の取引先に集中していないか 複数の顧客・分野から依頼が分散している 売上の大部分を1〜2件の取引先に依存している
健康面・家族の事情 現在の業務量を続けられる健康状態・生活環境にある 健康面や家族の事情で、これまでのペースを維持しにくくなっている
行政書士の廃業を検討する目安となる3つの赤信号を示す図
生活費・運転資金・粗利益のいずれかに赤信号が出ていないか確認する

今のうちに見直しを検討したいサイン

12の視点のうち、特に「生活費と事業費の分離」「当面の現金の余力」「月ごとの粗利益」の3つで見直し側のサインが出ている場合は、経営の土台に関わる部分です。この3つに加えて、顧客獲得や問い合わせ件数など複数の項目で見直し側のサインが重なっているなら、廃業に限らず、後述する選択肢を含めて早めに検討を始めることにはリスクを減らす意味があります。

逆に、現金の余力や生活費の分離ができている状態であれば、業務量の増減があっても判断を急ぐ必要は薄いと言えます。焦って判断するより、何が原因で見直し側のサインが出ているのかを切り分けることが先になります。

まだ続けられる可能性があるケース

一時的な売上の落ち込みと、構造的な要因による落ち込みは分けて考える必要があります。たとえば、特定の業務の依頼が一時的に減っているだけであれば、取扱業務の幅を広げたり、他の専門家との提携を増やしたりすることで立て直せる可能性があります。

また、オンライン対応やデジタル化が遅れているために問い合わせが増えていないケースもあります。この場合、廃業ではなく業務の進め方を見直すことで状況が変わることもあります。一方で、健康面や家族の事情のように本人の努力だけでは変えにくい要因が大きい場合は、業務量を絞った「登録維持」や、次章で紹介する他の選択肢を早めに検討したほうが、結果的に無理のない形になりやすいと言えます。

なお、これから行政書士を目指している段階で「この勉強を続けても大丈夫か」という不安を感じている場合は、資格取得前の挫折と資格取得後の廃業は、似た構造の悩みとして行政書士 無理ゲー|受かる気がしない・諦めかけた人が次で合格する再起ロードマップで扱っています。

行政書士が廃業を決めたときの手続きの流れを示す図
届出先・注意点・税務署への届出をまとめて確認できるチェックリスト

廃業届の出し方と月末廃業の注意点

行政書士の登録抹消(廃業)の手続きは、所属する都道府県の行政書士会を経由して、日本行政書士会連合会に登録抹消届出書を提出する形で行います。提出先や必要書類は所属する行政書士会によって細部が異なる場合があるため、まずは所属の行政書士会の登録・各種手続きに関する案内ページで最新の情報を確認してください。

月末近くに廃業する場合、その月の会費や登録費の扱いが変わることがあります。手続きのタイミングによっては、想定していなかった月の会費が発生することもあるため、廃業を予定している月が決まっている場合は、早めに所属の行政書士会へ確認しておくと、想定外の費用負担を避けやすくなります。

行政書士が廃業後に選べる7つの選択肢を示す図
転職や登録維持、事業承継など廃業後にも複数の道がある

廃業後に選べる7つの道

廃業届を出すこと自体は一つの手続きですが、その前後にどの道を選ぶかによって、必要な準備は変わります。代表的な選択肢は次の7つです。

  1. 転職 — 行政書士としての知識・経験を活かせる企業の法務・総務部門などへの転職
  2. 補助者・業務委託として働く — 他の行政書士事務所で経験を積みながら収入を確保する
  3. 登録維持・業務縮小 — 完全に廃業せず、業務量を絞って登録だけ継続する
  4. 正式に廃業届を出す — 登録を抹消し、行政書士としての業務を終了する
  5. 再開(再登録) — 一度抹消した登録を、条件が整った時点で再度行う
  6. 事業の清算 — 法人形態の場合は、会社・事務所としての清算手続きを行う
  7. 顧客・案件の移管・事業承継 — 既存の顧客対応を他の行政書士に引き継ぐ

転職を選ぶ場合は、ハローワークで求人を探しながら、教育訓練給付制度などを使って関連分野の知識を補強するという進め方もあります。一方で、行政書士としての登録自体は維持しつつ、社会保険労務士など関連分野の資格を組み合わせて業務の幅を広げる、という選択を取る人もいます。どちらが合うかは、12の視点で見えてきた状況や、廃業理由として多い6つのパターンのうちどれが自分の状況に近いかによって変わってきます。

廃業後に必要な税務上の手続き

個人事業として行政書士業務を行っていた場合、廃業に伴って税務署へ「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出する必要があります。消費税の課税事業者だった場合は、事業廃止に関する届出も別途必要になることがあります。

提出期限や必要書類は状況によって異なるため、廃業を決めた時点で、税務署や顧問の税理士に確認しておくと手続きが滞りません。行政書士会への登録抹消手続きと税務署への届出は別の手続きである点も、押さえておきたいポイントです。

よくある質問

Q. 行政書士の廃業率は本当に高いのですか?

A. 公的データを見る限り、行政書士全体の廃業率は3%台後半から4%台で推移しているという報告が複数あります。「3年で9割が廃業する」といった数字を裏付ける公的な根拠は見当たりません。

Q. 行政書士が廃業する理由で多いのは何ですか?

A. 経済的要因、競争・顧客不足、健康・高齢、法改正による業務環境の変化、事業承継の失敗、倫理・懲戒等の6つに大別されるという整理があります。複数の要因が重なって廃業に至るケースが多いとされています。

Q. 行政書士の廃業届はどこに出せばいいですか?

A. 所属する都道府県の行政書士会を経由して、日本行政書士会連合会に登録抹消届出書を提出します。具体的な必要書類や提出方法は、所属する行政書士会に確認するのが確実です。

Q. 行政書士を廃業した後、再登録はできますか?

A. 登録抹消後、条件が整えば再登録は可能とされています。ただし手続きや必要な条件は所属していた行政書士会によって異なる場合があるため、再登録を考えている場合は事前に確認しておくとよいでしょう。

Q. 廃業後にはどんな選択肢がありますか?

A. 転職、他の事務所での補助者・業務委託、業務を縮小しての登録維持、正式な廃業届の提出、再登録、事業の清算、顧客対応の移管・事業承継など、複数の選択肢があります。状況に応じて組み合わせることもできます。

行政書士の廃業は終わりではなく次の準備であることを示す図
噂に振り回されず、自分の状況に合わせて次の選択をする

まとめ:行政書士の廃業を「終わり」にしないために

行政書士の廃業率は、公的データで見ると3%台後半から4%台というのが実態に近く、「3年で9割が廃業する」という話を裏付ける根拠は見当たりません。それでも一定数の人が廃業を選んでいるのは事実で、その背景には経済的要因、競争・顧客不足、健康・高齢、法改正、事業承継の失敗、倫理・懲戒等のいずれか、あるいは複数が関わっています。

今の状況を続けるかどうかを判断するときは、12の視点をひとつずつ確認してみてください。見直し側のサインが重なっている場合でも、廃業という結論に直結するわけではありません。登録を維持したまま業務量を調整する、他の専門家と連携する、関連する資格を組み合わせて選択肢を広げるなど、廃業以外の道を含めて次の一歩を考える材料にしてもらえればと思います。どこから手をつけるか迷う場合は、「生活費と事業費の分離」と「当面の現金の余力」の2つから確認すると、残りの視点を検討する時間的な余裕がどれくらいあるかが見えてきます。

廃業を選ぶ場合も、廃業届の提出先や税務上の手続きを確認しておけば、必要な手続きを一つずつ終わらせていくだけです。廃業は「終わり」ではなく、次の選択に向けた手続きの一つとして整理しておくと、その後の準備も進めやすくなります。

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12の視点のうち「取扱業務の幅」や「専門分野の明確さ」で見直しを考えている場合、社会保険労務士など関連分野の資格を組み合わせることで、対応できる業務の幅を広げられることがあります。フォーサイトの社会保険労務士講座には、すでに行政書士として登録している人向けのダブルライセンス割引が用意されています。合格率は63.0%(2025年実績)で、全国平均の約11倍という結果が公表されています。

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本記事の数値は、日本行政書士会連合会の事業報告書および複数の調査・分析記事をもとに作成した時点のものです。最新の数値や手続きの詳細は、所属の行政書士会・税務署など公式窓口で確認してください。

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