
過去問の民法ページを開いて、去年と同じところで手が止まる。模試では170点台が出るのに、本番になると点数が崩れる。「これだけやって、また落ちるのか」——その重さが、受験票を手にするたびに増している。
行政書士試験を「無理ゲー」と感じる人は少なくありません。合格率10〜14%、年間受験者約5万人のうち約4万3千人が不合格通知を受け取る。感覚は正確で、この試験は構造的に難しい。
ただ、「難しい」と「不可能」は別物です。毎年5,000〜7,000人が合格しています。その人たちが特別な才能を持っていたわけではなく、やり方を一つ変えた人たちです。この記事では、なぜ「無理ゲー」と感じるのか、そしてどう抜けるかを整理します。
✅ この記事で分かること
- 📌 行政書士試験が「無理ゲー」に見える統計的な理由
- 📌 2回以上落ちた人が陥る「3つの罠」
- 📌 民法・行政法の配点62%を軸にした立て直し方
- 📌 独学で停滞したときに通信講座に切り替える3つの判断基準
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行政書士が「無理ゲー」に見える理由と現実のデータ
「無理ゲー」という感覚は気のせいではありません。ただ、その正体を数字で見ていくと、どこを変えれば抜けられるのかが見えてきます。まずは合格率の構造と、落ち続ける人がはまる罠を、データを直視するところから始めます。
合格率10-14%の構造——受験者の86%が落ちる試験
令和7年度(2025年)は受験者50,163人に対して合格者7,292人で、合格率14.54%。令和6年度(2024年)は受験者47,785人・合格者6,165人で12.90%でした。令和7年度は約4万3千人が不合格になった計算です(出典:行政書士試験研究センター)。
ただし重要なのは、この試験が絶対評価(300点満点中180点)である点です。宅建のように「上位15%」という相対評価ではなく、180点を超えれば必ず合格します。競争するのではなく、180点という固定ラインを超える勉強をすることが課題です。
2回、3回と受験を重ねて合格する人も珍しくありません。大事なのは「何回落ちたか」ではなく、「前回と同じ落ち方をしていないか」です。2回落ちていても、やり方を変えれば合格者の主流派と同じ土俵に戻れます。
なお、行政書士試験は年1回(例年11月)しか受験機会がありません。1年間の学習の総決算が1日に集約されるため、当日の体調管理や試験会場の下見・交通手段の確認も、見落とされやすい合格要因です。
2回以上落ちた人が陥る3つの罠
2〜3回目の受験者に共通する3つのパターンがあります。1つでも当てはまれば、そこが改善の起点です。
罠1:同じ教材を3周しても理解が深まらない
「もう少し読めば分かる」と同じテキストを繰り返しても、最初に理解できなかった部分は3周目でも理解できないことが多い。解説スタイルが自分の頭に合っていない可能性があります。書店で2〜3冊立ち読みし、説明の仕方が違うものに切り替えるだけで停滞していた論点が入ることがあります。
罠2:過去問を解くだけで「解き直し」をしていない
過去問を5周回しているのに点数が伸びない人の多くが「解いた後にすぐ正解を見る」パターンです。翌日に同じ問題を解き直す、間違えた選択肢の根拠を条文に戻る、1週間後に再確認する——この反復サイクルが定着を作ります。
罠3:民法・行政法の配点62%を意識せず全範囲を均等に勉強している
行政書士試験は民法46点・行政法112点で全体の53%(択一式のみで62%)を占めます。ここに学習時間の70%を投入し、商法や基礎法学は最小限に絞るのが合理的です。バランス重視の学習が180点に届かない原因になっていることがあります。
1年目の敗因と2年目以降で違うこと
1年目と2年目以降では、敗因の質がまったく違います。同じ対策を続けることが停滞の理由です。
- 1年目の典型的敗因:勉強時間が600〜800時間に届かなかった、記述式を後回しにした、本番の時間配分練習が足りなかった。→「量を増やす」で解決します。
- 2年目以降の典型的敗因:時間は確保したが質が不十分、模試で170点台なのに本番で点数が崩れる、独学で質問できず理解不足が蓄積した。→「やり方を変える」「質問できる環境を作る」で解決します。
あなたが今何年目かを確認し、対策を切り替えてください。
敗因を特定したら、次の対策を絞ります。1年目の「量不足」なら、週間学習時間を記録して可視化することから始めてください。2年目以降の「質の問題」なら、模試の答案を「知識不足・理解不足・ケアレスミス」の3分類で整理すると、改善すべき点が明確になります。
行政書士「無理ゲー」を抜けるための3段階リスタート
ここからは具体的な抜け方です。試験を突破する3段階を整理します。全部を一度にやろうとせず、やることを絞れば、無理ゲーは攻略可能な試験に変わります。
第1段階:民法・行政法の配点62%に学習の7割を集中させる
180点を取るうえで、民法46点・行政法112点のふたつに注力することが最も合理的です。この2科目で158点。残り22点を憲法・一般知識・商法から拾えれば合格ラインに届きます。
具体的には民法テキストの条文素読(1日30分)と行政法の基本判例10本の暗記から始めます。範囲を絞ることで「全部やらなきゃ」という圧力が消え、深く理解することに集中できます。
学習時間の配分の目安として、週20時間確保できる場合は民法・行政法に週16時間(8割)、憲法・一般知識・商法に週4時間を割り当てるのが基本です。民法は条文確認(2時間)+過去問演習(3時間)+解き直し(3時間)、行政法は判例確認(2時間)+過去問演習(4時間)+解き直し(2時間)が目安です。商法・基礎法学は頻出の過去問だけを最小限に押さえる設計が合理的です。
第2段階:記述式を週1本書く
記述式は60点(20点×3問)。180点合格のうちの約3分の1です。しかし独学者の多くが「最後まで対策できなかった」と言います。
記述式の対策は「型を身につけること」が先です。主体・客体・行為・根拠の4要素を書く型を最初の3ヶ月で反復します。週1本だけ、40分かけて書く練習をするだけで本番に書けるようになります。模範解答を読んで「なるほど」と思うだけでは書けません。手を動かすことが必要です。
得点の設計は「20点満点を狙わず、3問で合計10〜15点を確実に取る」が現実的な目標です。40字程度でも主体・行為・根拠が揃えば部分点(4〜8点)が入ります。練習の手順は①問題を読む(5分)→②何も見ずに書く(20分)→③模範解答と照合する(15分)の40分サイクルが基本です。3ヶ月間続けることで、本番で「型が出てくる」感覚になります。
第3段階:独学の限界を感じたときの通信講座切り替え基準
以下の3つに1つでも当てはまれば、通信講座への切り替えを検討する時期です。
- 模試で民法・行政法の正答率が60%以下を3回以上繰り返している
- 1年以上独学で停滞し、どこを直せばいいか分からなくなっている
- 記述式で型が作れず、部分点も取れていない
通信講座を選ぶときは、合格率の数字だけでなく、記述式の添削があるか、質問対応はどうか、教育訓練給付金の対象か、返金保証の条件まで確認して選ぶと失敗しにくいです。フォーサイトのように、給付金対象の講座や保証制度を用意しているところもあります。働きながら続けられる設計かどうかも大事な基準です。
選ぶ際の補足として、記述式の添削は5回以上あるかどうかを確認してください。1〜2回しかない講座では、本番水準まで引き上げるには不足することが多いです。また、教育訓練給付金を使う場合は受講前にハローワークでの手続き(受給資格確認)が必要です。受講してからの申請では間に合わないため、検討から申込まで1〜2週間の余裕を持って動いてください。
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本番試験の時間配分——3時間で解く順番と得点設計
試験時間は3時間(午後1時〜4時)。問題構成は法令択一式(46問)・多肢選択式(3問)・記述式(3問)・一般知識(14問)です。「解ける問題を先に解かなかった」ことで失点するケースが多く、解く順番を事前に決めておくことが有効です。
推奨される解く順番の目安は次の通りです。
- ①一般知識(14問/25分):文章理解3問を確実に取り、残りは5〜7問獲得が目標
- ②法令択一式(46問/90分):民法・行政法を中心に、解けない問題は2〜3分で切り上げて次へ
- ③多肢選択式(3問/20分):穴埋め式・得点しやすい形式
- ④記述式(3問/40分):型通りに書く・3問合計12点前後を設計目標に
- ⑤見直し(5分):マークミスと未解答の確認
模試で170点台が出るのに本番で崩れる人に多いのが、難問に時間を取られすぎるパターンです。解けない問題は1〜2分で印をつけて次に進む練習を、本番3ヶ月前から模試のたびに意識して行ってください。
なお、行政書士には「合格しても食えないのでは?」という不安もあります。たしかに資格を取るだけで仕事が自然に来るわけではありません。ただし、それは試験の難しさとは別の問題です。開業後に必要なのは、専門分野の選び方、集客、継続案件の作り方です。この点は別記事で詳しく解説します。
よくある質問
行政書士の先にある司法書士を検討している場合は、難易度の現実から見ておくと判断しやすくなります。
まとめ:行政書士「無理ゲー」からの出口は敗因の特定から
行政書士試験が難しい理由はデータが示しています。ただし、毎年5,000〜7,000人が同じ試験で合格しています。「無理ゲー」から脱出するための手順はシンプルです。
- 3つの罠(同じ教材繰り返し・解き直しなし・均等学習)のどれに当てはまるか確認する
- 民法・行政法の配点62%に学習の7割を集中させる
- 記述式を週1本書く練習を最初の3ヶ月で習慣化する
- 独学で停滞が続くなら通信講座切り替えの3基準で判断する
- 本番3時間の時間配分と解く順番を事前に決めておく
「無理ゲー」の正体は難易度ではなく、やり方の選択の問題です。敗因を特定し、どこを変えるかを決めることが、次の合格への最初の一歩になります。
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