
「2年も学校に通って、本当に仕事につながるのかな」。職業訓練のページを開いては閉じて、また開いて。そんな夜を、あなたも過ごしているかもしれませんね。
独学ガイド編集部です。執筆担当が、会社を辞めたあと、お金をほとんどかけずに専門学校へ2年間通いました。失業手当を受け取りながら、製菓とカフェの勉強をした2年間です。
正直に言うと、通う前は不安だらけでした。お金は続くのか、年齢的に浮かないか、本当に就職できるのか。たぶん、いまのあなたと同じ気持ちです。
受講前の不安、実際にもらえたお金、申し込みと選考のリアル、そして「向いていない人」まで、できるだけ正直にお伝えします。読み終えるころには、自分が受けるべきかどうかの判断材料がそろっているはずですよ。
✅ この記事で分かること
- 📌 2年通える職業訓練(長期高度人材育成コース)のしくみ
- 📌 実際にもらえたお金と、雇用保険がない人の制度の違い
- 📌 申し込みから選考・入校までの流れと、落ちることもある現実
- 📌 2年通って感じた本音と、向いていない人

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職業訓練を2年受けた体験談
まずは、私がどんな経緯で職業訓練を受け、2年間をどう過ごしたのかをお話しします。制度の細かい説明より先に、「実際どうだったのか」を知りたい人が多いと思うからです。
結論から言うと、私はこの2年間を「受けてよかった」と思っています。ただ、向いている人と向いていない人がいる制度でもある。そこも含めて、フラットにお伝えしますね。
会社を辞めて製菓を選んだ理由
仕事を辞めて学び直しを選ぶ理由は、前の仕事が合わなかった、体を壊した、もっと好きなことを仕事にしたい——どれも立派な理由です。
いつかは自分で飲食店を開きたい。それが会社を辞めた一番の理由でした。「なんとなく興味がある」という段階ではなく、「そのために基礎から学ぼう」と決めていたので、製菓・カフェのコースを選ぶことに迷いはありませんでした。独立のために必要な技術を、できるだけコストを抑えながら身につけたかった。それが職業訓練を選んだ理由です。
大事なのは、「なんとなく」ではなく「これを学びたい」という軸があるかどうか。後で触れますが、選考の面接でも、ここはしっかり見られます。
受講前に一番不安だったこと
受講前の不安は、だいたい次のどれかに当てはまる人が多いです。
- 2年間、お金が続くのか
- 年齢的に、まわりから浮かないか
- 授業や実技についていけるか
- 2年かけて、本当に就職できるのか
私が一番不安だったのは、卒業後の進路でした。2年通っても、その先に仕事があるのかが読めなかった。飲食業への転職は初めてで、「製菓の技術を身につければ就職できるのか」という漠然とした不安を、申し込みの段階からずっと抱えていました。
同じ不安を持つ人は本当に多いですよ。この記事の後半で、その一つひとつに、体験と制度の両面から答えていきます。だから、不安なまま読み進めて大丈夫です。
長期高度人材育成コースとは
私が通ったのは「長期高度人材育成コース」と呼ばれる、2年間の職業訓練です。ここでは、このコースのしくみを、はじめての人にも分かるように整理します。「職業訓練=数か月」というイメージの人ほど、ちょっと驚くかもしれません。
2年通える委託訓練のしくみ

長期高度人材育成コースは、2018年度(平成30年度)から始まった国の制度です。都道府県が、専門学校や民間の教育機関に訓練を任せる「委託訓練」という形をとります。つまり、運営は国・都道府県、授業の現場は専門学校、という二人三脚のしくみですね。
目的は、国家資格などを取って、正社員として就職すること。だから期間も長めにとってあって、主に2年です。短期コースが「とりあえず就職」だとすれば、こちらは「資格を取って腰を据えて就職」というイメージが近いです。
気になる受講料ですが、授業料そのものはかかりません。ただし、テキスト代・国家資格の受験料・作業着・入学検定料など、自分の持ち物になるものは自己負担です。「学校の授業は無料だけど、自分のものは自分で買う」と覚えておくと分かりやすいですよ。
どんなコースがあるか、どんな手当が出るかといった公式の情報は、厚生労働省のページにまとまっています(出典:厚生労働省『ハロートレーニング(離職者訓練・求職者支援訓練)』)。制度は年度で変わることがあるので、最新は公式で確かめてくださいね。
製菓など学べる分野の広さ
学べる分野は、思っているより幅広いです。代表的なものを挙げると、こんな感じ。
- 保育・介護・福祉
- IT・Web・プログラミング・デザイン
- 事務・経理(簿記など)・医療事務
- 製菓・調理・カフェ(私が選んだのはここ)
- 建築・CAD・電気・設備
どの分野が募集されるかは、地域と年度によって変わります。「自分の住むエリアで、今年どのコースがあるか」は、ハローワークで確認するのが確実です。人気の分野は募集も埋まりやすいので、早めの相談がおすすめですよ。
製菓やカフェの実習は、週の多くを実習室で過ごすくらい実技が中心でした。驚いたのはクラスの年齢層です。担任の先生も私より年下で、クラスメイトは25歳以上離れた若い人たちが多かった。最初は少し気後れしましたが、同じ目標で集まっているので、年齢は思ったより壁になりませんでした。むしろ刺激になることのほうが多かったです。
職業訓練でもらえたお金


職業訓練でいちばん気になるのが、お金の話だと思います。ここは「雇用保険を受け取れる人」か「そうでない人」かで、もらえるお金がまったく変わります。混同すると損をするので、分けて説明しますね。
まず、2つの制度の違いをざっくり表にしました。スマホの方は横にスクロールできます。
| 項目 | 公共職業訓練(雇用保険あり) | 求職者支援訓練(雇用保険なし) |
|---|---|---|
| 対象 | 失業手当を受け取れる人 | 失業手当を受け取れない人(廃業・受給終了・一定収入以下のパート等) |
| 主なお金 | 失業手当が訓練終了まで延長 | 職業訓練受講給付金 月10万円 |
| 受講料 | 無料(教材等は自己負担) | 無料(教材等は自己負担) |
| 期間の目安 | 3か月〜2年(長期コースは2年) | 主に2〜6か月 |
失業手当が2年延長された

会社を辞めて雇用保険の基本手当(失業手当)を受け取れる人が職業訓練を受けると、本来の給付日数が訓練の途中で終わっても、訓練が終わるまで手当が延長して支給されます。これを「訓練延長給付」と言います。
たとえば本来は90日分しかもらえない人でも、2年のコースに通えば、その間ずっと手当を受け取れる可能性があるんです。これが「2年通うと失業手当を最長でもらえる」と言われるしくみですね。
訓練中にもらえる主な手当
失業手当に加えて、訓練を受けている間は次のような手当も対象になります。金額の目安を表にしました。
| 手当の種類 | 金額の目安 | ひとこと |
|---|---|---|
| 受講手当 | 日額500円(上限40日=最大2万円) | 訓練に通った日数に応じて |
| 通所手当 | 通学定期代など実費・月上限42,500円 | いわゆる交通費 |
| 寄宿手当 | 月10,700円 | 家族と離れて暮らす必要がある場合 |
見落としやすい「非課税」のメリット
正直、ありがたかったというのが一番の実感です。毎月手当が振り込まれることで、お金の心配を抱えながら授業を受けずに済んだ。「生活できる」という安心感があると、学ぶ内容に集中できます。金額は人によって違うので具体的には書きませんが、2年間の学びを支えてくれた制度だと今でも思っています。
雇用保険がない人の10万円

一方、雇用保険を受け取れない人(フリーランスを廃業した・受給が終わった・一定収入以下のパートなど)には、「求職者支援制度」という別の制度があります。こちらは職業訓練受講給付金として月10万円が支給される可能性があります。
ただし、こちらは条件がやや厳しめです。おおむね、次のすべてを満たす必要があります。
- 本人の月収が8万円以下
- 世帯全体の月収が30万円以下
- 世帯の金融資産が300万円以下
- 訓練すべてに出席(やむを得ない欠席でも8割以上)
- 過去6年以内に、この給付金を受けていない
条件の詳細や最新の基準は、厚生労働省の案内で確認できます(出典:厚生労働省『求職者支援制度のご案内』)。
「自分はどちらの制度に当てはまるのか」で、受け取れるお金が変わります。ここは自己判断せず、ハローワークで一度確認してもらうのが確実ですよ。
💬 編集部メモ
お金の制度は「自分がどちらに当てはまるか」で大きく変わります。執筆担当は雇用保険を受け取れる側でしたが、これは人によって違います。思い込みで決めず、一度ハローワークの窓口で聞いてみてくださいね。
申し込みと選考のリアル
職業訓練は「申し込めば誰でも通える」わけではありません。ここは意外と知られていないところ。申し込みの流れと、選考の実際を見ていきましょう。
入校までの手続きの流れ

大まかな流れは、次のとおりです。
- 住所地のハローワークで求職申し込み
- 職業相談(コース選びのため、複数回行うこともある)
- 受講申込書を受け取り、募集期間内に申し込み
- 申込書を訓練機関へ提出(持参または郵送)
- 選考(筆記試験と面接。内容はコースで異なる)
- 合否通知が自宅に届く
- 合格者はハローワークで「就職支援計画書」を受け取り、訓練開始
ポイントは、申し込みまでにハローワークへ何度か足を運ぶ必要があること。一度の相談では終わらないことが多いです。私の場合も、相談・申込・結果報告で、何度か窓口に通いました。だから、思い立ったら早めに動くのがコツですよ。
筆記と面接で聞かれたこと
選考は、コースによって筆記試験と面接があります。筆記は、中学から高校レベルの国語や数学などの基礎的なものが多いです(コースによっては適性検査のような内容も)。身構えるより、基礎を一通り思い出しておくくらいで十分なことが多いですよ。
面接でよく聞かれるのは、次の3つです。
- なぜこの訓練を受けたいのか
- 訓練のあと、どんな仕事を目指すのか
- 今、就職活動はどうしているのか
ここで効いてくるのが、さっき触れた「学びたい軸」です。訓練内容を事前に調べて、自分のこれからの仕事とつなげて話せると、ぐっと伝わりやすくなります。
書類を提出して、筆記と面接の選考を受けました。面接でいちばん印象に残っているのは「なぜこの学校を選んだのか」という質問です。「独立して飲食店を開きたいので、基礎からきちんと学びたい」と答えました。ふわっとした志望動機だと説得力が出ないので、「なぜこのコースか」と「修了後にどうしたいか」をセットで話せる準備をしておくと、面接で伝わりやすいと思います。
2年通って感じた本音

最後に、2年間通い終えた今だから言える本音と、正直に「向いていないかもしれない人」をお伝えします。良いことばかり並べても、あなたの判断の役には立たないですからね。
こんな人には向かないかも

職業訓練は良い制度ですが、すべての人に合うわけではありません。次のような人は、別の道のほうが合うこともあります。
- 今すぐ収入が必要で、2年(または訓練期間)を待てない人
- 独学で自走でき、毎日通学する拘束がかえって負担になる人
- 学べる分野と、自分が目指す仕事がズレている人
- 出席要件(8割以上など)を続けるのが難しい事情がある人
「無料だから」だけで選ぶと、時間のほうが惜しくなることがあります。お金と同じくらい、2年という時間をどう使うかで考えてみてください。あなたにとって、その2年は投資になりますか? それとも回り道になりますか?
食の仕事と次の学び直しへ
修了したあとは、「就職支援計画書」に沿って就職活動を進めていきます。コースによっては国家資格を取得して、その資格を足がかりに仕事を探す人も多いです。修了後も、一定期間はハローワークの就職支援を受けられますよ。
修了したのは2020年。新型コロナウイルスの感染拡大と重なり、飲食店の求人が激減していた時期でした。独立どころか、雇ってもらえる場所を探すだけでも苦労しました。そのなかで食育インストラクター2級の半年コース(受講料無料)を受け、給食関連の仕事に就くことができました。その後、縁あって沖縄の離島に移り、今は飲食店で調理師として働いています。
離島に来てから、通信やeラーニングで学べる講座の存在を改めて実感しました。「通えないから無理」ではなく、選び方次第で学び直しの道は続く。それを身をもって知ったのは、島に来てからです。
それと、もし「通いたいけど、近くに学校がない」という人。今は通信やeラーニングで学べる訓練・講座も増えています。私自身、いまは離島に暮らしていて、通学はむずかしい環境です。それでも学び直しの道はあると知って、ずいぶん気持ちが軽くなりました。「通えないから無理」とあきらめる前に、選択肢を確認してみる価値はありますよ。
よくある質問

まとめ|2年間で得たもの
職業訓練は、お金をできるだけかけずに、専門のスキルや資格を身につけられる制度です。雇用保険を受け取れる人なら、失業手当を受け取りながら2年学ぶこともできます。私にとっては、人生を立て直すための大きな2年になりました。
一方で、選考があり、毎日の通学や出席要件もあります。「向いているか」を一度立ち止まって考えることが、2年という時間を無駄にしないコツです。
迷っているなら、まずは情報を集めるところから。次の2つのうち、今のあなたに合うほうから始めてみてくださいね。
▼ 通学が難しい・自分のペースで資格を取りたい人
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